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春の爽やかに晴れ上がった日差しに触れると、10年ほど前まで行っていたオートキャンプを思い出し、高原の冷たい朝の空気が恋しくなる。
今回フィアット・パンダに試乗した日も、そんな「はるかなる山の呼び声」を感じてワクワクしてしまうような素晴らしい天気に恵まれた。
雑誌やカタログで見るよりも実車を目の前にすると、普通に大きなボディーなので大型テントをはじめかなりな重装備も楽に積めそうだ。
しかし名前がPandaなのには少々戸惑いを覚える。そう、あの巨匠ジュジャーロの代表作である旧型Pandaの、綿密なレイアウト検討とクルマを熟知した類まれなセンスで、実用的に「使える道具」としてクルマの最小の大きさを提案したあのサイズ感と比べかなりデカイのだ。
初代の持っていた「デザインの仕事とはこういうことを言うんだ!」といった賢さを訴えかける強いメッセージはデザインからは残念ながら感じられない。
そうは言っても簡単にはあのレヴェルは超えられないし、だからこそ初代Pandaが50年に一つか二つのエポックメーキングと云われる所以でもあるのだ。
Panda復活のくじを引き当てたデザイナーはお気の毒である。

さっそく詳細を観ていこう。まずエクステリアデザインの第一印象は「今風グローバルタウンカー」である。
しっかり感のある骨太デザインが基調の洗練された定番的スタイルで、あえて個性を抑え、ウインドウ・グラフィックでちょっとだけ特徴を持たせている。中国沿海部を含め世界中でグローバル化している都会の若い既婚カップルのファッションや共通したテイストを、ぴったり取り込んでいる。
現代のあふれる情報ソースの中で、特にインターネットが決定付けたグローバル化の波は、ローカルな生活文化の違いによるエキゾチックさを、若い人を中心驚くべきスピードで消し去っている。どこの国へ行ってもモバイル携帯世代またはパソコン世代はセンスが共通化している。GAPが世界中で受け入れられていることを個性尊重のイタリアといえども認めざるを得ないわけで、競争の激しいコンパクトカー部門のターゲットカスタマーを知れば知るほど、グローバルスタイルをはずすわけには行かないのだ。
ボディーの造形手法も、これといった目新しい提案が無い代わりに、クオリティー重視の厚みのある面造形に努めているようだ。面の張り方も初代Pntoのほうがむしろ革新的であったように思える。
だが、やっぱり数々の名車を生み出したフィアットだ。こうしたタウンカーでさえプロポーションのバランスや躍動感のあるたたずまいをしっかりと実現しているのが立派である。こうした車を見るといつも考えさせられるのが、日本車の多くがここの部分がいまだに追いつけていない部分で、もういいかげんに農耕民族のDNAを払拭したいものである。

 

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