★4.5
大切なのは、どんなにユニークなアイデアでも、バランスが悪かったらアイデア倒れになる。クライスラー300Cの賞賛に値するのは、デザインレベルも最高ではないのだが、かなり良いところでバランスが取れていることである。伝統のモチーフのアレンジも、あまり力まずに余裕を持って、楽しみながら軽やかにこなしているのである。
前回のクワトロポルテは、ここのところが違っていて、気負いすぎの硬さが見る側にひしひしと感じられ、手を抜いたところと完璧なところのバランスの悪さを露呈してしまったのである。
300Cも似たようなミスマッチが有るため0.5減点した。それは、リアのコンビネーションランプである。これではフロントマスクの伝統のアレンジとは無関係で、最近のキャデラックではないかと見間違えそうである。
せっかくここまでアレンジしたのなら、リアランプも1955年ウィンザー4ドアセダンの個性的でシンプルなデザインをモチーフにしたほうが、全体の力強いモードにぴったりではないかという、私のカウンタープロポーザルを書き添えておこう。
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