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CHRYSLER 300C
インテリアデザインを観てみよう。

はっきり言って、これまでのアメリカ車のインストルメントパネルデザインは何だったんだ、と思えるほど、洗練されたデザインだ。しいてアメリカらしさを探すとすれば、ステアリングホィールデザインぐらいである。べっ甲調の樹脂をステアリングの一部やドアグリップ、シフトノブに取り入れたりして、これまでのメッキと木目調なら何でもOKといった質感の良くないインテリアと比べたら、なんとお洒落なことか!
センターコンソールも、控えめにクールなシルバーパネルで済ませていて、ニッポン車のように猫も杓子もウォルナット風樹脂製パネルのセンターコンソールにしなかったのは、高く評価したい。
ちなみに、中国の最新小型トラックの試作インパネが、日本の技術の木目調パネルだらけになりつつある姿を見てしまってから、私は急に樹脂製の木目調が嫌になってしまった。

メルセデス・ベンツのメーターそっくりの、白い文字盤がとても知的で、好ましい。日本の高級車でも、やたらカラフルな夜間照明のものがあるが、300Cのおとなの趣味性を参考にしていただきたい。こんなところはモノトーンが一番なのである。

本革製のシートデザインは、ヨーロッパ車のボルボやベンツと全く差が感じられない出来栄えである。シートの設計デザインは極めて高度なノウハウが要求される。座り心地はトップクラスで欠点が見当たらず、確証は無いが、メルセデス・ベンツのバックアップがかなり有ったとしか思えないほど、形状や作りが良いのである。コストダウンも怠り無く、身体に接するところ以外はヘッドレストを含めて合成皮革を徹底して使っている。

じっくり全体を見渡すと、様々なウィークポイントも点在する。たとえば、ドアトリムはフルサイズバンのように、質感を必要以上に落としすぎた感じがするのだ。
水平に設けられた肘掛は機能的にはパーフェクトなのであるが、べっ甲調のアクセントだけではあまりにも素っ気無く、機能一点張りである。商業車出身のデザイナーが担当したのかもしれないが、完成度の高いインパネを仕上げたチーフデザイナーらしくない采配である。
もうひとつは、インテリアカラーの悪さで、アメリカらしい繊細さを欠いた色相である。試乗車のグレーは、べたついた感触のウレタン樹脂の欠点を強調してしまう暗い色で、大西洋の曇り空に合わせた「NAVY色」ともよく似た色である。落ち着いた中にも華やかさがある大人の色調なら良かったのにと悔やまれる。

では、採点に移ろう。


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