★4.0
軽自動車をデザインする場合、衝突安全基準は同じなのに、小型車との必要以上な差別化としか思えない車幅の20センチもの差をどう処理するかである。
“軽”のデザインは、豊かな面造形を狙っても、車幅が極端に狭く見えない範囲で収めざるを得ないというのが、これまでの常識であった。しかしイタリアからやってきたデザイナーは、迷うことなくアルファロメオGTと同じ感覚でエキゾチックな抑揚のある面造形をほどこした。
結果、真後ろから見るとかつてのBMWメッサーシュミットを彷彿とさせるタンデム2人乗りみたいな幅狭感がある。しかしである。「幅が狭く見えてもかっこよければいいじゃないの?」ということを、言葉ではなく製品で世に問いかけたのがスバルR1
なのである。
そういえば、1950年代のフィアット500“トポリーノ”は、もう少し室内を広く取ることは可能であったが、それよりボディーのクオリティー感を犠牲にしないデザインにしたところが偉かった。R1のデザイナーは先人の教えを忠実に実践したのかもしれない。
フロント回りのデザインは、富士重工のブランド構築への想いがうまくコントロールできず、造り手側の理屈優先になってしまったようで、説明的なデザインなのが良くない。全体の完成度との落差を重く見て1点減点した。
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