|
|
アイデアスケッチでは良かったが、品質感が伴わず、新しさの表現にはならなかったのがドアのアウターハンドルである。
可動部のハンドルが、ぴったりモールと合うわけがないため、其の僅かなずれがハイライト部分で目立ってしまい損をしている。品質のトヨタさんなら絶対に避ける構造であろう。
そうした視点であら捜しをしてしまうと、ヘッドランプも少々気になる。
チーフデザイナーが経験不足なのかヘッドランプメーカーへのダメだしが遠慮がちなのかは判らないが、反射鏡の周辺に、単なるメッキの平滑面がやたら目立っていて安っぽいのだ。繊細なセレーションなどのデザイン処理で、遊んでいるところで発光部を引き立たせるのが常套手段なのに惜しいことをしている。
ちなみにBMWやフォルクスワーゲンのランプの品質が、いまやスタンダードだと思って間違いない。
エクステリアデザインのこれだけのまとまりと完成度のなかで、、私にとって最大の疑問はフロント回りについてである。想像するに、リア周りの垢抜けしたセンスとあまりにもそぐわないのには、何がしかの理由があってのことであろう。
しかも角の丸い台形型のイメージは、1960年ごろのサーブのフロントグリルを連想させる。それならいっそナカジマの象徴であった星型空冷エンジンの火鉢のようなカウルをモチーフにしたら・・・・などと私のような「古いもの大好き人間」が勝手なことを言い出さないような洗練された顔をマイナーチェンジではお願いしたい。
インテリアデザインに移ろう。
軽自動車とは思えない高級感のあるデザインだ。
まず目に付くのが“ゼロ戦の翼をかたどったインストルメントパネルである。
水平位置からの形状はとてもすっきりしているが、目線位置から見下ろすカタチは中央が手前に出ているぶんカーブがきつくなり、少々くどい感じになる。もう少し水平基調のほうが飽きがこないし、モダンな感じが強調されるのではないだろうか。
また、メーターが丸いのだから左右にある噴出しグリルも機能で優れる丸型のほうが良い。どうも日本では丸型は格調が足りないと思われているせいか、あまり人気が無いようだ。丸でも動きの滑らかさやシボで高級感は出せるのに惜しい気がする。
気になるところとして、ドアトリムのスイッチ部周辺の成形のデザインが、妙に初期の携帯電話やラジカセのような装飾的ラインデザインの香りがすることである。コンセプトの大人の遊び心とはマッチしない感じだ。
シートはさすがにイタリア基準が感じられデザインが良い。それに座り心地もシート重量などの制約の多い軽規格の中でトップクラスである。出来の良さに正直おどろいた。
往復で2時間半、約70km走ったが通気性が良く、座面が少し柔らか気味なこと以外は全く問題が無かった。シートは最初の座り心地の満足度以外は、長時間の運転で違和感があるか無いかが大切で、ホールド感なども、長時間走行ではだんだん苦しく感じだすものなのである。どのあたりをターゲットにするかである。
そんなわけで、いよいよ採点の時間となってしまった。
|
|
|
|
|