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クルマのスタイリングは1920年代に最初の完成時期を迎え、平面中心のボディーながら、タイヤの位置などレイアウトに関係したクルマのかっこよさの概念が、人々のあいだに定着した。
その後、板金のプレス技術の進歩に合わせスタイリングの好みも進化し、滑らかなボディー面が新しさの象徴として一世を風靡したのだ。
第二次大戦後、無駄を省いた合理性の追求によりモノコックボディーが実用化され、オースチン・ミニ、初代ゴルフなど「小さなボディーに最大の空間」を目指したコンセプトのクルマが登場し、新しい時代にふさわしい新しいクルマのかっこよさとして定着した。
こうした流れのニュージェネレーションの一台がSUZUKI SWIFTである。いま最も層が厚く、競争の激しいカテゴリーであり、それだけにすぐれモノに対する評価は如実に販売台数の結果に直結するわけで、当たれば年間100万台オーバーも夢ではない世界なのである。

今回試乗させていただくのはスズキ株式会社の広報からお借りしたSWIFT 1.5XSだ。最近のトレンドカラーであるメタリックブルーのボディー色は、上品な色味で鮮やかさも充分にあり、アカ抜けしたデザインのスイフトに良く似合っている。そう、スイフトのエクステリアデザインの第一印象は「アカ抜けている!」なのである。

はっきり言って、鈴木自動車工業時代からの伝統的な個性は強烈で、トップシェアを誇っているワゴンRを除き、これまでは、なんとも言えない「明るい農村」向きなテイストが感じられたのである。特にせっかくのハイブリッドカーのツインは、可愛らしさであるファニーとファジーを取り違えたような造形にはがっかりさせられた。またラパンにしても、フランスの貧しかった時代のベーシックカーのアンニュイをうわべでとらえた希薄さが、私にはなんとも言えない拒否反応を引き起こさせた。
だが今度のスイフトのエクステリアデザインは、こうした土壌から生まれたとは思えない突然変異の脅威の進化を見せているのだ。
また、先行しているニッポンの他社のこのカテゴリーのクルマは、グローバルな視点から見ると、やっぱりニッポン的キラキラ感や見栄を切ったデザインが多い。そうした中でのスイフトのデザインは、ダイナミックムーブメントを基本造形の第一義に据えたグローバルな自動車デザインに真剣に取り組んでいる。こうしたことから、ニッポン的な垢が完全に抜けていると感じるのである。

モノコックボディーの進化とともに歩んできたトランクの無いコンパクトカーデザインは、その合理的デザインゆえに、2ボックスカーと呼ばれるようになった。したがってドアは長い間フラッシュサーフェスが常識であったが、衝突安全への感心の高まりと呼応した骨太デザインへのトレンドの変化のなかで、ダイナミックな走りをテーマにした力強いデザインが復権した。
こうした流れの中、このスイフトは並み居るヨーロッパの強豪の中でさえも、ダイナミックなデザイン表現でトップクラスを達成出来ていると私は評価している。

具体的な造形の特徴に触れてみよう。
ヘッドランプの面が明確なエッジラインによって強調され、そのラインが連続してベルトライン下のドアの膨らみを形成し、リアのテールランプに収束する。多くのデザイナーがスケッチに描いてきたありきたりな造形手法ながら、みごとなフェンダーのふくらみの演出や、ラインの微妙な傾斜、そして最も重要なルーフの傾斜とのバランスなどが完璧な造形センスによって達成されている。
特に大胆だと思えるのが、リアのホィールフレアのトップに近い方にドアのオープニングラインを通したことだ。組み立てでの精度むらが目立ちやすく厄介であるが、リアタイヤを包むリアドアのフレアの面を断ち切らないため、最大限の効果を発揮している。ちょっと強調しすぎの感があり、かえってリアドアが削げて見えるギリギリまで攻めているが、各ラインをシャープに出して、面をフラット気味にコントロールしているせいで、なんとか破綻せずにとどめているのは高度な見極めである。

このクルマの最大の美点は、ラップアラウンドタイプのウィンドウグラフィックを採用し、それを見事に完結させていることである。成功のポイントはAピラーとフロントウィンドウの傾斜を起こしたことだ。
これによりフロントガラス縦断面の変化が自然な範囲に収まり、全体造形のクオリティー向上に大いに役立っている。

 

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