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MAZDA VERISA
エクステリアデザインの唯一の弱点は、タイヤが15インチなのにもかかわらず小さく見えることである。それもそのはずで、ベルトラインが異様に高いということは、リアタイヤの上のフェンダーパネルの面積が広いということで、タイヤは相対的に小さく感じられてしまう。フロントタイヤもボンネットが高いと、フロントフェンダーの面積との対比で小さく見えるのだ。この物理的な寸法の問題は、プレスラインなどでトリックを試みても多少大きく見えるというレベルの話で、私としては、ボディーのしっかりしたデザインに負けないよう、BMWミニのように17インチホイールを履かせるほうが望ましい。

インテリアデザインに移ろう。
エクステリアのしっかり感とバランスの取れた、最近では珍しい骨太のインテリアデザインである。
まず目に付くのが水平基調の力強いインストルメントパネルだ。シート生地とカラーコーディネートさせたボックスリッドと操作部分を独立させたデザイン構成は、機能的で知的な雰囲気を感じる。空調吹き出し口も、使用しないとき完全に蓋になる丸型で、最も合理的に進化したタイプを採用し、チーフデザイナーの見識を評価したい。

シートデザインはオーセンティックな形状で、クラシックな雰囲気を狙っている。1980年代のベンツやロールスロイスのシートのようなぶ厚いデザインで、座り心地もカジュアルなソファーではなくフォーマルなソファーをイメージしているようである。より濃厚な「上質」のイメージ創造を優先させているようだが、フィット感や座り心地も1980年に戻ってしまったようで、現代のレベルからすると良くない。ヘッドレストの形状も四角さが目立ち、シングル縫いの縫製パターンとあわせて本革仕様でないと良さが発揮されにくい形状をしている。
シートアジャストは調節範囲が他車と比べ広い。そのため標準位置がよくわからず、私の場合は少々セットアップに苦労してしまった。どうもメータークラスタの高さと向きに対して、シート座面の傾きが変えられないのが原因かもしれない。調節範囲の狭いヨーロッパ車でこんな経験は無く、ベクトラもボルボも一発で最適置を決めることが出来た。

ドアトリムデザインも、質実剛健タイプで極めて骨太である。全体との調和のとれた水平基調で、まったく女々しいところが無い。・・・と言うより媚びた所がないため、現代のデザインテイストからすると「お堅い」感じがする。よっぽど、メルセデス‐ベンツCクラスのドアトリムのほうが色気ムンムンといった感じである。つまり、このお堅い雰囲気がベリーサのコンセプトなのだ。

とにかくエクステリア以上にインパクトの強いインテリアデザインである。トヨタ日産のような、お客様の嗜好や趣味に合わせたインテリアデザインではなく、まったく独自の、いわば、マツダが主張するクルマの世界の“硬派デザイン”である。これは、長年にわたってマツダ・デザインがヨーロッパで認められた誇りに裏付けられたニッポンのお客様に対するデザインの啓蒙である。さきほど「お客様にタカピーな」デザインと表現した理由は、このあたりを指しているのである。
というわけで、いよいよ採点だ。


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