ドイツメーカーの最後は、最近元気なオペルだ。
オペルの歴史を見渡してみて、そのデザインの傾向を言うならば“万人向け”か。商品自体も大衆向けの小型車を中心としていたメーカーだが、1929年という早い時期にGMの傘下となり、多かれ少なかれそのアメリカンカルチャーの影響を受けてきたからとも考えられる。従って、そのバランスのとれたニュートラルな性格によって多くの支持を集めたモデルも産み出した反面、これと言った特徴のない性格が人にアピールすることのなかったモデルも少なからずで、総体的には個性の希薄な実用車メーカーという印象の下に続いてきたと言える。 |
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筆者がかつて体験した人気のモデルはと言えば、70年代後期から80年代初期にかけてのレコルトEだ。派手さはないが端正なタタズマイの4ドアセダンで、2リッターエンジンに当時の欧州としては贅沢なATを組み合わせた仕様はパワー、操縦性・安定性ともに高いレベルを備え、雪のスイスを含めた早春の欧州を快適に駆け回ったものだ。そして同時期に欧州のプレステージカー市場への参入を狙って投入されたセネターも、格調の高さとスポーティさが巧く溶け合ったような魅力を備えて当初は人気を集めたものだ。しかし欧州では大衆車イメージの強いオペルは成功するには至らず、オメガへ席を譲った後にプレステージクラスから撤退したカタチで今に至っている。 |
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さて、近年のデザインに触れてみよう。93年にコンパクトのコルサ、日本名ヴィータが、そしてフラッグシップとなったオメガやコンパクトスポーツのティグラも登場。また96年にはミドルクラスのベクトラが、翌年にはロアーミドルのアストラが、それぞれ刷新され、今の前の世代を形成したわけだ。だが、これらのデザインに共通しているのは、個性や主張に欠け、鈍く地味なことだろう。 |
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