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メーカー通信簿Vol.12 シトロエン
フランスと言えばシトロエン、というのが筆者の世代だが、近年ではプジョーやルノーの印象の方が強いだろう。両メーカーともに堅実なコンセプトと技術によるクルマ作りが中心ではあるが、当のシトロエンも74年以降はプジョーの傘下にあって独自色を出し難い状況にあったことにも因る。だが、かつては、性能や快適性、あるいは生産性やコストを合理的発想と独創的な技術によって解決する先進的なクルマのメーカーとして、そして同時にユニーク、あるいは奇抜なメーカーとしても世界に名を馳せていたのだ。そうした技術の典型がハイドロニューマチック方式のサスペンションであり、今に続けられている。
そのシトロエンの、デザインに影響する最初のユニークな技術がトラクシオン・アヴァン、即ち前輪駆動のクルマで、既に採用したメーカーがあったにも関わらずシトロエンのモデルの代名詞ともなったのはその仕立てのレベルの高さからだ。シャシーフレーム全盛の時代に、モノコックボディーのキャビン前部にパワートレインとフロントサスペンションを一体としたユニットを結合させるという新たなアイデアは、FFレイアウトのメリットを活かすと同時に空力にも優れた低いプロポーションのスポーティなスタイルを可能とした。そして、シトロエンのユニークさを世界に強く印象づけたのが2CVシリーズとDSシリーズだ。
これら二つのモデルは、方や極端なミニマムトランスポーテーション、他方はプレステージモデルと車格を大きく異にするが、“蝙蝠傘に車輪を着けた”ようなコストと実用機能を徹底追求した2CVも、性能と快適さを革新技術と空力フォルムによって徹底追求した“宇宙船”みたいなDSは、ともに“スタイリング”という概念以前の、言うなれば“デザイン”という言語本来の“設計”あるいは“企て”を現している感じだ。
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