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メーカー通信簿Vol.15 ジャガー
この、イギリス自動車産業の惨状を救ったのが外資、とりわけ日本の自動車メーカーだから面白い。80年代半ば、時の宰相サッチャーさんが産業の疲弊と失業の増大に困窮して日産の工場誘致を実現、そしてホンダが続き、部品工業の活性化、製品品質の向上、労使関係の改善などによって、海外資本が中心とはいえ現在のイギリス自動車産業を立て直し、外貨の獲得や雇用の確保に役立っているのだ。筆者が、初代プリメーラのイギリス生産に関わる品質確認業務でイギリス工場を訪問した折、先行生産のオースターかなんかの製造ラインでイギリス人が働いているのを目の当たりにし、あの、頭上に輝いていたお師匠さんの国の人たちが日本車を造っていることに夢のような現実に対する驚きと感慨に暫し呆然としたことを覚えている。
さて、名のみながら今に残る量産モデルのブランドとその親会社は、ジャガー、アストンマーチン、ランドローバーがフォード、ヴォクゾールがGMで基本的にはオペルの英国ブランド、ロールスロイス、ミニがBMW、ベントレーがVW・アウディ、ロータスがプロトンとなる。しかしながら特殊なモデルをハンドメイド的に製造する一応自国資本のメーカーもあり、ブリストル、モーガン、そして後発のケイターハム、TVRなどだ。そこで、デザインの経緯に触れるに適する量産メーカーはと言えばジャガーくらいのものであり、イギリス生まれの代表として採り上げてみよう。
ジャガーは創業時はスワローモータースと称し、サイドカーから始めてオースチンやフィアットなどの大衆車をベースにスポーティなスペシャルボディとしたモデルの製造販売によって成功の後、独自のモデルをSSと称するシリーズで生産販売、そのモデルの一つにジャガーのサブネームを採用し、モデルとともに人気を高めた結果、社名もジャガーカーズに改めたワケ。こうした、ウィリアム・ライオンズ、後年“サー”の称号を授与された創業者の成功は、安い大衆車をベースとした“スポーティな見てくれ”のモデルが高価なスポーツカーに手の届かない若者を中心に人気を集めた結果(反面上流階級からは「紛い物」と軽蔑されていた)だが、世界的な人気を集めるようになったのがSS―100を母体とする“カッコいい”XKシリーズのスポーツカーであり、またCタイプやDタイプのマシーンによる国際レースでの活躍である。

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