automotive design    
Car Design New Car Info Drive Info 自動車保険 自動車買取
メーカー通信簿Vol.15 ジャガー
一方、スポーツカーのXKシリーズの方は、120から140,150と推移した後、有名なXK−E、いわゆる“Eタイプ”となって古典時代を終え、XJSに刷新された。この80年代後半の時代はジャガーといえどもイギリス病を背景とした品質問題や経営問題、そして創始者サー・ウィリアム・ライオンの他界などが重なり、国内の支援を受けつつも存続が危ぶまれていたものだが、最終的にはフォードが手を差し伸べ、90年代となってからの新たな躍進を可能としたのである。
その後、角ランプのXJ40が94年に再びXJ6となり、ヘッドランプもボディパネルの形状から丸4灯となって本来のジャガーらしさを取り戻したかに見えた。しかし、後に加わってきたXK8やSタイプ、Xタイプを含めて、かつてのジャガーの持つデザインの滑らかな円味が主体ながら凝縮された面の緊張感やエッジの鋭さが影を潜め、あまいプレスラインや面精度のボディのタタズマイはかつての“夜目遠目”においても強烈な存在感を漂わせていたものとは違っている。状況的にクロームメッキを効かせられる時代ではなく、品質、コスト、実用機能などの要求が必然的に影響することはあろうが。それが、オールアルミボディの新たなXJシリーズとなって大きく改良されたことはタシカ。
だが今度は、世界の高級高性能セダン市場での戦いのために、従来の不評点だった居住スペースや実用機能を充実させた結果、従来のジャガーらしさを踏襲したアンダーボディに対してビッグキャビンとなり、かつてのシナヤカでスポーティな気品を失ってしまったようだ。じゃあ実用機能よりもスタイル優先がいいのか、と言われれば否であり、ビッグキャビンに適した新たなジャガーデザインの魅力を探ることが必要だろう。ニューXJの事前セミナーで会えた、あのDB7のデザイナーであるイアン・カラムによると、今回のXJのデザインは最後の段階で多少関わっただけと言う。筆者が気にするリアピラー回りに氏も苦労したようだが、氏が次に当初から携わるモデルが楽しみである。
1 2 TOP